楽歩堂と、福岡市にある和紙靴下の製造販売メーカー「itoix」の共同開発で生まれたのが「rakuhoDry tabi」です。
開発のきっかけは、楽歩堂代表・澁谷のライフワークである「トライアスロン」でした。

澁谷が出場する種目「アイアンマン」は、スイム3.8km、バイク180.2km、ラン42.2kmをひとりの競技者が連続して行うもので、とても過酷な競技です。

澁谷は数年前から、itoixの和紙5本指ソックスの性能と履き心地に惚れ込み、アイアンマンで使用していました。
足が全くと言って言いほど蒸れなく、全く靴擦れやマメができなかったのです。
ゴール後、過酷に使用した足裏はサラッとして匂いも無く、驚きでした。

しかし、悩みがありました。 

第1種目のスイムが終わった後、自転車用ウェアーに着替え、ソックスと自転車専用シューズを履き、バイクに乗るまでの時間を最短で行う必要があります。
しかしこの時、濡れた足で5本指の靴下を履こうとすると、指にソックスが入りにくく時間が掛かり、大幅にタイムロスしてしまうのです。

かと言って、普通の形のソックスは、足の機能で重要な「親指」が独立しておらず、足のパワーや働きが充分に活かせないのです。

素早く履くことができて足の機能を最大限に活かす構造、それが「足袋型」でした。

加えて足首をセミロング丈にすることで、 スポーツだけではなく普段履きのボトムスに合わせたり、蒸れやすい革のビジネスシューズを夏に履くときにも足をドライに快適にすることもできます。　

また5本指のソックスは、指先の生地が増えることによりつま先がキツくなってしまう場合があります。
これを解決できるのも足袋型のメリットです。 

itoixにはこういったモデルがなかったので、「rakuhoDry tabi」を開発しました。

このソックスの素材には、和紙繊維を25年以上研究してきた「ITOITEX」の和紙糸が使われています。

自然そのものを生かした和紙繊維は、非常に人間の肌と相性の良い素材です。

6世紀頃、仏教が伝わった際に、製紙技術が日本にもたらされ、そこから日本特有の和紙が生まれたとされています。
和紙は障子や襖など日本の家屋で広く使われ、薄い一枚の紙が自然な調湿や冷暖房の機能を果たしてきました。
また、和紙繊維の多孔質の中には無数の微生物が生息し、空間の浄化に一役買っています。

マニラ麻 (アバカ)は、和紙糸の原料で、日本の紙幣にも使用されている素材です。
エクアドルの有機認証農園で栽培されたマニラ麻の原皮が日本に輸出され、大きな環境問題に直面する世界にとって、エコフレンドリーでサステイナブルなグローバル原料となっています。
また、マニラ麻の繊維はとても強靭で、熱や湿気にも強く、ワイヤーロープの芯材や船舶繋留用のロープ、そして日本の紙幣の原料としても使用されています。

これを製造工程において、一度和紙に加工します。機械漉きの技術によって、伝統的な和紙製法を活かした製法で紙を漉き上げます。
この機械漉き和紙は、障子紙や書道紙、断熱材などにも利用されています。
これらの過程により、原料から混入している不純物は取り除かれ、和紙の性能を最大限に引き出す事ができるようになります。
この過程は、木を炭にする過程に似ています。 木炭の場合は揮発成分や分解生成物など、余計なものを排除するのです。

この漉き上がった和紙を幅1.5mmの細いテープ状に断裁し、巻き取ったテープを縒りながら（ねじるようにしながら）強度を出すための糸に巻きつけていきます。
テープの状態では強い力が加わると切れてしまうため、均一で丈夫な糸をつくるためには、熟練された技術と繊細な作業が必要となります。

こうして仕上がった和紙糸を使って「rakuhoDry tabi」は作られています。

特に強度が必要な指の又部分は、ナイロンの糸で補強し、耐久性を上げています。

他社でも和紙素材を配合したソックスは存在しますが、ここまで品質を追求した製法を行う和紙糸はコストも高く、一般の流通には乗っていません。

①いつでも快適！驚くほどの吸湿・速乾性

マニラ麻の大きな特徴は、天然の多孔質であること。
繊維の１本１本に空いている無数の穴が、通気性や吸水速乾性、消臭性能など、多彩な機能性を発揮してくれるのです。

無数の穴に吸い取られた汗や水分は、地面を踏みしめるタイミングで外部に押し出され、肌との間に水分が留まることがない仕組みになっています。
したがって、ムレによる不快感を大幅に軽減できることはもちろん、マメも出来にくいのです。
（マメができる原因は、水分と摩擦熱です）

吸水性のスピードは、他社ソックスと比較して、約15倍です。
※他社ソックスは約15秒・和紙糸のソックスが約1秒です。
「rakuhoDry tabi」は、肌に触れる部分の内側の100％に和紙糸を使っています。

Q：寒くないの？
A：沢山の空間があるダンボールの保温性が高いのと一緒で、多孔質素材の和紙は、薄い割に保温性があります。
ガラス窓の熱の通過率が90%に対し、薄い和紙の障子は熱の通過率が40%〜50%に抑えられ、室内温度や湿度が快適にコントロールされるように、足の環境を一定に保ちます。

②薄くて強靭！従来綿と比較すると3倍強度

Q：簡単に破れないの？
A：マニラ麻を使っている日本の紙幣は簡単なことでは破れず、非常に耐久性があることは広く知られていますが、このように、マニラ麻は優れた耐久性があることがわかります。

和紙糸で織られた素材の耐久性は、商品化基準の3倍の耐久性があります。
（一般財団法人カケンセンター調べ）※通常は、商品化基準の2倍程度が多いです。

また、和紙は熱伝導率が極めて低く、劣化の原因となる摩擦熱が発生しにくいのです。
※熱伝導率は、綿の約10分の１・ナイロンの約6分の1です。

③超軽量！総重量が従来ソックスの2分の1

和紙自体の繊維としての軽量度に加え、ITOITEXが保持する裁断技術により、スリット1.5mmという極細幅を実現。
重量は1平方メートルで15gと、他の素材と比較しても2分の1という軽さを誇ります。

④第三者検証機関が実証！消臭のカ 96-99%

足の臭いに大きく作用するものは、足にいる“常在菌”と“汗”です。
汗と一緒に流れ出た古い角質や皮脂を、足の常在菌が分解するときに、足の臭いの元である「イソ吉草酸ガス」が発生します。
和紙糸の主原料である「マニラ麻」は、汗の吸水・速乾の特性で、ムレを抑制します。
さらに、イソ吉草酸ガス発生時に、ガスの滞留時間を短縮します。
実験においても、ITOITEXの和紙糸を使用した靴下に消臭効果があることが、第三者機関の検証結果として実証されました。

※臭い減少率（使用ガス）イソ吉草酸ガス→2時間後：96%消臭・10回洗濯後：99%消臭
※試験方法：（一般財団法人カケンテストセンター調べ）SEKマーク繊維製品認証基準で定める方法（（ー社）繊維評価技術協議会）
ただし、靴下の足底部分で試験。洗濯方法：SEKマーク繊維製品の洗濯方法（標準洗濯法）による

カラー：ブラック・グレー
サイズ：S（22-25cm）M（25-28cm）L（27-30cm）
素材：
内面：指定外繊維（和紙）、キュプラ
外面：指定外繊維（和紙）、キュプラ、ナイロン、ポリウレタン

足袋型和紙ソックスを着用したスタッフNのインプレッション

　「適度な「ザラザラ感」がとっても心地よく、足が涼しく感じます。まるで皮膚の一部になったかのようなフィット感です。先日、100kmウォーク大会でこのソックスを使いました。大会前に化学繊維の5本指ソックスを履いて練習で50kmくらいを2回歩きましたが、その時はつま先の足裏と、小指と薬指の間に肉刺が出来てしまいました。ですが今回履いた足袋型和紙ソックスはキツさやジワジワと足裏が熱くなる感じが無く、肉刺が出来ませんでした。5本指ソックスだとつま先がきつくなりやすいのですが、足袋型ソックスはきつさが無かったです。